高齢者介護のあれこれ

介護相談員の在宅介護ガイド

高齢者の糖尿病、お肉を食べてコントロールする!

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1.高齢者の糖尿病、食事の工夫は簡単ではない

日本の糖尿病患者は約2000万人、全国民の6分の1にもなる非常に多くの方々が糖尿病を患っています。当然のことながら、若い人は糖尿病になることはほぼなく、糖尿病患者の多くが中高年層と65歳以上の高齢者です。中高年層はまだまだ糖尿病をコントロールしていくだけの体力と意欲、意志が備わっていることも多いですが、高齢者になるとなかなか難しいです。高齢者は長年好き好んでいた生活習慣を変えることに非常に強い抵抗を覚えるために、食事の制限にも強い抵抗を覚える方が多いです。

 

また、齢者は体力と認知機能の低下によってこまめな食事制限や栄養管理を行えないことも多く、腎臓病や高血圧、脂質異常症などの食事制限が必要なさまざまな生活習慣病を患っていることも多いために食事の管理が非常に複雑になるからです。しかも高齢者の7割以上が低栄養または低栄養状態の予備軍と言われていることもあり、食事制限をきっかけに深刻な栄養不足に陥ることも多いです。そのために高齢者の栄養状態を管理しながら多くの摂取制限を行わなければならないので、高齢者の糖尿病ケアは簡単にはいきません。

 

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糖尿病の場合、血糖値を正常にコントロールするインシュリンの分泌に異常があるため、糖質を制限する食事制限を行うのが一般的です。つまり、白米、パン、麺などの糖質が豊富な主食の量を減らすことが多いのです。高齢者の中には主食を減らさなければならないと強く意識しすぎて主食だけでなく食事全体の量までも減らしてしまい、コンビニ弁当1つで1日の3食をまかなっている高齢者も少なくありません。しかし、食べる量が減った高齢者は短期間で栄養不足状態になり、筋力が急激に衰えたり(サルコペニアなど)認知症を発症したり脱水症状を引き起こしやすくなったりします。

 

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2.糖尿病だから野菜から食べる?いいえ!

現代医学の研究では、血糖値が急激に上がらないように糖質の多い米や麺を食べる前にヨーグルトやオリーブオイルを摂るようにも勧めます。しかし日本の高齢者はヨーグルトの酸味が苦手なうえでオリーブオイルなどは食事の前後を問わず馴染みがありません。ヨーグルトやオリーブオイルは高齢者に多い便秘改善のためにもよく用いられますが、これらの食べ物は高齢者のお口に合わないことが多いです。

 

そのために日本では糖質が多い米などの主食を食べる前に、野菜を先に食べるように指導をすることもあります。食事の際に米よりも野菜を先に食べることで糖質の急激な上昇を抑えて血糖値を緩やかにあげられることは医学的に実証済みの有効な方法なのでお勧めです。しかし、食が細くなった高齢者の場合、お腹の中で膨らみやすい野菜を先に食べると食事量が減ってしまうことから慢性的な栄養不足になるリスクも高いです。高齢者の栄養不足は筋力の急激な減少の原因にもなり、転倒によるケガ、寝たきりのきっかけにもなるので非常に注意しなければなりません。

 

ここで高齢の糖尿病患者にお勧めできるのが「お肉を先に食べる」食事法です。お肉は米や野菜よりも腹持ちがよく、消火に時間がかかります。そのために必然と糖質が吸収される場所の「腸管」に食べ物が届く時間が遅らされ、血糖値の急上昇を抑えてくれます。高齢者になるとお肉もあまり食べなくなりますが、驚くことに高齢者は若い人よりも多くのたんぱく質を摂らないと筋力の維持ができずに衰えていきます。そのためにも食事のときにお肉を先に食べる方法は高齢者の糖尿病はもちろん、筋力を維持するための栄養管理にもつなります。

 

 

3.高齢者の為の、一番よい食べ方と食べ物

高齢者はまだまだ元気な中高年とは違って、食習慣へのこだわりとワガママは強いままで食は細くなるし、高血圧や糖尿病などの生活習慣病で常に食事に制限が必要です。そのために「病状を悪化させない賢い食べ方」「本人が美味しいと感じる食べ物」の2つの条件をクリアする必要があります。

 

糖尿病の高齢患者を対象にした場合は、お肉でもお魚でも良質なタンパク質をはじめに摂って頂き、それから野菜や米を食して頂くのがよいでしょう。ここで最も大事なのは高齢者本人の食欲を失わせないことです。栄養管理をするためといって無理に食べ物を勧めると高齢者の食欲が失せてしまい、日に日に衰えていくことになります。そのために高齢者が好きに食べられる美味しいものを一緒に食べることがとても大事です。