高齢者介護のあれこれ

介護相談員の在宅介護ガイド

高齢者健康の大原則『みずめしうんうん』とは?

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1.みず・めし・うん・うん とは?

『みずめしうんうん』実は介護現場ではよく聞く言葉です。

高齢者の身体機能はもちろん、認知機能の維持、改善までに役立つ魔法のような法則です。

 

それは「水、飯、ウン(コ)、運(動)」です。つまり、十分な水分を摂り、十分なご飯を食べ、快便し、適度の運動をすること。これが高齢者の体と心の健康を維持、改善するための最も大事な基本です。最近では、この「みずめしうんうん」が認知症予防に最も大事な原則とした医師による学術シンポジウムもよく開かれています。

 

1-1.水:水分補給と脱水の予防

 

高齢者の老衰は単なる加齢のせいではありません。100歳でも自転車に乗って出かける方もいれば重病を患わなくても70歳で寝たきりになる方もいます。高齢者になって体調を大きく崩す原因に一つに『脱水』があります。

 

人は加齢とともに体内の水分量が減ります。子供のときは身体の70%が水分ですが、高齢者になると身体の水分は50%にまで激減します。そのため、少しの水分を失うだけで脱水症になりやすいです。汗や尿、下痢、嘔吐など、急に水分を失うときは特に脱水症になりやすいので注意する必要があります。

 

骨粗しょう症の方など、骨の弱い高齢者が脱水によって転倒する場合、あまり強くぶつからなくても大きな骨折をすることが多いです。この骨折によって自立して生活していた高齢者が突然介護状態に陥ることは非常によくあることです。高齢者が足の骨を折ってしまい、数週間以上ベッドに横なる場合、急激に筋肉が落ちて寝たきりになる危険性が高まります。75歳以上の後期高齢者の場合は、1か月以上のベッド生活で8割を超える高齢者がリハビリが必要な寝たきり状態になったとの事例報告もあります。

 

また、脱水による転倒は、外部衝撃による認知症を引き起こすことがあります。頭をぶつけなくても体をつよくぶつけてしまうことで認知症を発症することがあるので、常々からこまめな水分補給には十分に気を付ける必要があります。

 

1-2.飯:栄養摂取と低栄養の防止

 

日本の要介護者は600万人超。高齢者の低栄養改善に努める「日清オイリオ」の調査によると要介護者の40%以上が低栄養状態にあるか、または低栄養傾向にあると言います。ほぼ2人に1人が低栄養のリスクがある状況です。栄養状態が悪くなると免疫力と筋力が落ちるため、運動機能が低下し、やがて一人では生活のできない寝たきりの状態に陥ります。免疫力低下による肺炎などの感染症も増えるようになります。

 

高齢者になると食が細くなりがちですが、高齢者が摂取しなければならない栄養は若い人と比べて大きく落ちるものでありません。特に筋肉をつくるタンパク質は若い人と同じくらい摂取しないといけません。しかしながら高齢者は健康的な食事を摂るつもりで野菜ばかりの質素な食事を少量だけ摂ったり、糖尿病を気にして糖質を減らそうとご飯を食べなかったりすることも多いです。この間違った健康志向が介護状態に陥る最悪な生活習慣になり得るので、医師の制限がない限り肉類を十分に取り入れた栄養価の高い食事をする必要があります。

 

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1-3.ウン(コ):腸内環境の改善と快便

 

今は慢性の便秘患者が1000万人を超える時代。最近は若い人も腸内環境を気にして、ヨーグルトなどの発酵食品の商品も右肩上がりで伸びています。大腸は第二の脳とも呼ばれ、人間の免疫をつかさどる大事な臓器と呼ばれます。年齢問わず気を付けるべき腸内環境ですが、高齢者になると腸内環境の悪化が命にかかわることさえあります。

 

高齢者は運動量が少ないために大腸の刺激が少なく、普段から摂取する水分量も少ないです。しかも長年便秘の薬を飲んでいて、薬が効かなくなった方も少なくありません。そのために毎日便秘で苦しむ高齢者が多いのが現状です。便秘によって腸内に長く留まった便は水分を奪われて石のように固まります。そのため、場合によっては直接肛門に指を入れて固まった便を取り出す『摘便(てきべん)』を行う必要があったり、それでもダメな場合は手術をして便を取り出す場合もあります。大腸内で固まった便が神経を圧迫して死亡に至った例もあるほどなので、健やかな老後を送るためにも普段から適切な水分補給と運動、食事で便秘を改善、予防する必要があります。

 

適切な生活習慣の見直しで毎日快便できるようになれば、身体の免疫力があがって病気になりにくくなります。また、便秘の改善で食欲が出るようになって低栄養や脱水を未然に防止するためのキッカケになったりもします。元気な毎日を送るための最も大事なものが、この快便なのかもしれません。

 

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1-4.運(動):適切な運動

 

言わずともわかる、運動の重要性。若い人もそうですが、運動量が減ると自然と運動機能も低下します。特に高齢者は筋肉が衰えやすいために、普段からの継続的な運動を習慣化することが大事です。

 

運動をすることでお腹が減り、喉が渇くことで食欲が増進し、水分補給が進みます。また身体が温まることで免疫力が向上し、認知症の予防と改善によい影響を与えるとの研究発表もあります。しかも運動は大腸に刺激を与え、お通じがよくなります。いいことだらけです。

 

2.『みずめしうんうん』を意識して元気な老後を送りましょう。

『みずめしうんうん』は、どれか一つだけをとってもバランスがよいとはいえません。しかし、どれか一つの改善からもよいサイクルは始まります。実践しやすいところから日々の生活習慣を見直し、みず『めしうんうん』を改善していくことが大事です。健康寿命を延ばし、元気な老後を送るための最強の魔法の言葉、『みずめしうんうん』を忘れずに毎日気を付けていきましょう。