高齢者介護のあれこれ

介護相談員の在宅介護ガイド

家には飲まない薬がたくさん! 増え続ける薬どうすればいいの?

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1.超高齢化社会の日本、高齢者の飲む薬も多い。

 

超高齢化社会の日本。いまでは65歳以上の高齢者の割合が27%を超え、4人に1人が高齢者の時代です。その高齢者のほとんどは高血圧や糖尿病など、さまざまな病気を患っています。もちろん飲む薬もたくさん。10種類以上の薬を飲んでいる高齢者も少なくないです。高齢者の過度な薬の服用は気分を悪くして、後に重い介護状態に陥る『転倒』につながる事も多くあります。

 

2.残る薬がたくさん、これどうすればいいの?

 

飲まない薬が薬局の袋に入ったまま、いくつもいくつも溜まっている。在宅介護中の高齢者の家によくある風景です。定期的に病院やらクリニックやらに通って薬を頂いて来ますが、結局飲まずに残ります。この残薬の費用だけで年間約500億円!この500億円は患者と国が無駄に払っているお金でもあります。しかも本来の処方で狙っていた治療の効果も期待できません

 

高齢者の場合、同じ薬を繰り返してもらっていることが多いので、しばらく診察に行っても薬はもらわずに残った薬を飲んで無駄な薬代を節約することもできます。それではそもそも、なぜ薬が残るでしょうか。

 

3.高齢者の家に薬がたまる原因はこのようなもの。 

 

① 薬を飲むのをついつい忘れてしまっている

年を取るとうっかりと忘れること多々。薬も飲んだか飲んでないか記憶できないので飲まなかったり、逆に飲みすぎたりと正しく薬を飲むことができません。

薬を毎回ちゃんと飲ませられる環境でない場合は、1日3回処方された薬を朝晩の2回や朝の1回だけにすることはできないか、かかりつけ医の先生に聞いてみるといいです。

意外と薬が減らせられて、飲む回数が減ったことで薬を残すことなく服用できて体調や病状がよくなることが多いです。

 

②錠剤が飲みこみづらくて薬を飲まなくなっている

 高齢者になると衰える「飲みこむ力」。薬の錠剤を飲みこもうとしても、お水と一緒に飲みこんだはずが錠剤だけが口に乗ってしまうことが多いですよね。こういった場合は同じ種類の薬でも、液体やゼリー状、ゲル状の薬が出ている場合がありますので、ぜひとも医師や薬剤師に相談してみてください。どうしても錠剤の薬しかない場合は、1回に飲む薬が5錠以上の場合は5錠以下にまでに減らしてもらうことも一つの方法です。飲む薬を減らす事で薬剤による体調不良と転倒の危険も軽減できます。

錠剤が飲み込めないからといって家庭で錠剤をつぶすことは絶対に禁物!

腸で溶けるように作られている薬が胃の中で溶けてしまって、飲んだ意味がないこともあれば、薬が急に効きすぎて大事に至ることもあります。

しかも、鎮痛剤の薬などはつぶすことで口がしびれる程の強烈な苦さに襲われることもあって、服薬がもっと苦手になることもあります。必ず医師や薬剤師と相談しましょう。

 

③薬の副作用で体調が悪くなるために飲むのを辞めてしまっている

日本での医師の敬称は「さま」。お医者様とも呼びますよね。それだけお医者さんはありがたいけど、なかなかものが言えない相手でもあります。特に高齢者はお医者さんにわるいからといって、なかなか相談ができないことがあります。

薬によっては副作用があるものもあって、いろんな病院でいろんな薬をもらって飲んでいる高齢者には特にさまざまな副作用が起こりやすいです。

実際に手足がしびれる副作用があっても医師には相談できず、そっと薬を飲まずにいた高齢の患者さんも少なくありません。薬を飲まずにいる高齢者がいたら副作用のような症状がないか聞いてみましょう。薬による不調があると思われる場合は必ず医師と相談して薬を変えてみましょう

 

④本人や家族だけの判断で飲む薬を減らしたり絶っている

鎮痛剤を飲んでいる高齢者の中には、「動かなければ痛まないので薬飲まずにじっとしていればいい」と思って薬を絶ってしまう方がいます。確かにそうですが、薬は患者の症状の改善のために処方されているので、勝手に薬を絶ってしまうと患者の容体に何が起るかもしれません。

しかも関節の痛みなどで鎮痛剤を飲んでいる方も、動かないようにするとますます運動機能が低下して寝たきりになる可能性も増えます

動かないでベッドに横になりっぱなしになることによって床ずれになったりもします。

老後の元気な毎日を少しでも長く維持するにも薬はちゃんと飲んで、適度に体を動かすことが大事です。

 

⑤そもそも薬を認知することができず飲めなくなっている

 認知機能が低下すると、薬はもちろん、ご飯を食べることが何なのかさえも忘れてしまうことが有ります。毎日決まった時間にご飯を食べて薬を飲むことももちろん難しくなります。

このような場合は薬局の訪問薬剤師さんに相談しながら家族が適切な調剤指導を受けたり、ヘルパーなど家に訪問する介護スタッフの手を借りないといけません

 

4.なにごとも一人で悩まず専門家と相談しましょう。

 

薬は飲まないと体が痛むし、精神的な苦痛が増したりもします。中には認知症の進行を遅らせる薬もあるので、継続し飲まないと高齢者本人の生活の質が落ち、介護者の負担も重くなったりもします。

 そのため、飲まない薬がたくさんたまってしまうなど、薬に関する悩みがあるなら医師や薬剤師に相談しながら指示通りの服薬ができるようにしましょう。