高齢者介護のあれこれ

介護相談員の在宅介護ガイド

高齢者に多い病気のこと、知っておこう!(前編)

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日本人の平均寿命は男女合わせて約84歳。世界有数の長寿国です。しかし日本人の老後は決して元気で明るくはありません。75歳以上の後期高齢者のほとんどが様々な病気やケガで薬に溺れんばかりの生活を送っています。いつ突然訪れるかもしれない高齢者の病気やケア、医療処置、老衰について簡単に覚えておきましょう。

 

1.人工透析(じんこうとうせき)

 

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人工透析とは、腎不全の末期症状において、低下した腎機能の代わりの役割を果たす医療処置のことを言います。腎臓の働きが10%以下になると血液のろ過が十分に行えず、水分や老廃物のコントロールができなくなってしまいます。このような場合に、人工的に血液の浄化を行うのが人工透析です。

 

人工透析は人工透析器(ダイアライザー)を通じて、血液を身体の外に取り出し、血液中の老廃物や余分な水分を取り除き、浄化された血液を体内に戻します。血液を身体の外に取り出すために、腕の静脈と動脈をつなぎ合わせる簡単な手術を行う必要があります。血液の人工透析は1回あたり4~5時間がかかり、1週間に2~3回行う方が多いです。

 

2.脳血管疾患(のうけっかんしっかん)

 

脳血管疾患は大きく2つに分類されます。

 

1つ目は「脳梗塞」、脳梗塞は脳の血管が血栓(血の塊)によって詰まってしまい、そこから先へ酸素や栄養が運ばれなくなって脳の組織が破壊されてしまう病気です。脳の血管が動脈硬化を起こして血管が細くなり、血流が途絶える状態を脳血栓といいます。脳血栓は心臓などでできた血栓が剥がれて脳血管に詰まった状態を脳塞栓といいます。脳血栓は主に高齢者によく発症する病気で、知的障害、運動障害、言語障害などが徐々に進行します。脳塞栓は突然の半身のまひやけいれんによって起こることが多いと言われます。

 

2つ目は「脳出血」、脳出血は脳の血管が動脈硬化によってもろくなっているときに血圧が高くなると動脈が急に破裂して脳の中で出血が起ります。脳出血は多くの場合、突然意識をなくして倒れ、深いこん睡状態に陥って身体のまひを引き起こしてしまいます。

 

3.動脈瘤(どうみゃくりゅう)

 

動脈瘤とは、動脈血管の内壁がなんらかの原因で弱くなっているところが瘤(コブ)状に変化したものを言います。大きさは1mm~2mmくらいの比較的に小さなものから、30mmを超える大きなものまでさまざまです。動脈瘤は非常に破れやすいですが、多くの動脈瘤はクモ膜下空に存在するので、くも膜下出血の最大の原因になります。

 

手術法としては、クリッピング術、コイル塞栓術が代表的です。クリッピング術は、動脈瘤はあるところまで直接外科的処置をするために頭蓋骨の一部を取り除く必要があります。そして頭蓋骨の真下にある脳組織をはがして動脈瘤を金属製のクリップでとじ、動脈瘤に血液が流れて破れてしまうことを防止します。

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一方、コイル塞栓術と呼ばれる脳血管治療法は外科手術と異なって頭蓋骨をあけることはありません。太ももの太い血管からマイクロカテーテルと呼ばれる細い管を動脈血管内にいれて行う治療であるため、高齢者の場合は特にからだの負担が少なくて入院期間が短くなる利点があります。

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4.認知症(にんちしょう)

 

認知症とは既に社会的に広く知られた疾患です。認知症とは「生まれた以来正常に発達した精神機能が慢性的に減退、消失することで日常生活に支障がある状態」のことを言います。つまり、認知症は後天的に発生する知能の障害であるために知的障害とは異なります。

 

認知症の原因としてはアルツハイマー病がもっとも多いとされますが、さまざまな要因が影響しています。特に中枢神経系に問題が生じて起こる「レビー小体型認知症」や「脳血管性認知症」が代表的です。

 

5.鼻腔経管栄養(びくうけいかんいえいよう)

 

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鼻腔経管栄養は病気やケガではありませんが、経口摂取が難しい高齢者に必要な医療処置です。この処置を利用している患者は鼻から胃にいたるチューブを身体に入れて流動食を流し込みます。鼻腔経管栄養は患者の栄養状態が改善して口から食べ物が食べられるようになったり口から食べられる量が増えた場合は外すこともできる一時的な処置でもあります。

 

6.胃瘻(いろう)

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胃ろうとは、口から食べ物や飲みもの、薬などを飲みこめない場合に、胃に穴を空けてチューブを留置する医療処置です。このチューブを利用して、口から飲みこめなかった食べ物や薬などを流し込むことで患者の栄養状態を改善させるものです。主に、飲みこむ力が弱ったことによって頻繁に誤嚥性肺炎を発症する高齢者の場合、医師の判断で胃ろうを造設する場合が多いです。また、脳神経の障害によって自分の意志では食べ物を飲みこめない患者の場合でも胃ろうを造設することで栄養状態を改善させることがあります。患者の栄養状態と、経口摂取能力が改善すると胃ろうを取り外すこともできます

 

7.中心静脈栄養/IVH(ちゅうしんじょうみゃくえいよう)

 

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中心静脈栄養とは、消化器の障害などで口から食べ物が食べられない場合に、静脈から直接栄養を補充してもらう医療処置です。静脈の中に細いチューブを挿入して、身体に必要な水分やミネラル、栄養を供給します。この処置は、ガンなどによる消化管の通過障害など、様々な場合に利用されます。

 

中心静脈栄養を利用する患者がもっとも注意しなければならない点は、感染症です。感染の原因としては中部を挿入している皮ふからの細菌感染で、輸液セットや接続部の汚染などがあります。そのために輸液の交換の時などは中部の挿入部の消毒に気を付ける必要があります。

 

8.尿道カテーテル

 

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尿道カテーテルは、前立腺肥大症、または脊髄や末梢神経の障害、麻酔や薬の影響で排尿が難しくなった患者が利用する医療処置です。患者の絶対安静の時や長い手術のとき、残尿量を計る検査の目的などで利用されます。寝たきりの患者さんの場合は、長期にわたってカテーテルを利用するために、カテーテルが簡単に抜けないようにバルーン付きのカテーテルを利用します。カテーテルのケアはときに出血に繋がることもあるので、扱えるのは医師や看護師、そして十分な教育を受けた患者本人と患者家族のみです。高齢の女性患者の場合は尿道口が見つけにくいことが有るので、間違って膣に挿入しないように十分な注意が必要です

 

9.膀胱瘻(ぼうこうろう)

 

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膀胱の排尿機能に何らかの障害があって、正常な働きができない場合に強制的に排尿を可能にする尿路変更術のひとつです。下腹部の肌の上から膀胱にいたる穴をあけ、膀胱内に直接カテーテルをいれ、強制的に尿をからだの外に出します。患者の回復が見込めない場合は、「永久膀胱瘻」を利用しますが、病気や障害が治った後に元に戻すための「一時的膀胱瘻」があります。

 

手術は胃ろう造設手術と比べても比較的に簡単で、下腹部から膀胱までの距離が短いために、尿道から管を入れて尿を出すよりも衛生的だと言われています。

 

10.気管切開(きかんせっかい)

 

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気管切開とは、気管とその上の皮ふを切開して『気管カニューレ』という太いチューブををつなげることで呼吸のための気道を確保するための医療処置です。気管切開は気道の状況に関わらず確実に気道が確保されるといったメリットもありますが、身体への負担が大きいといったデメリットもあります。そのために、なんらかの原因で気道の確保が必要な患者でも原則として最初から気管切開を行う事はしません。

 

気管切開は気管を刺激するために、たんの分泌量が増えます。そのために定期的なたんの吸引を行って気道が閉塞しないようにする必要があります。気管周辺の消毒や湿度の維持、たんの吸引を怠ると、うまく呼吸できずに低酸素血症を引き起こすことがあります。また、溜まったたんによる誤嚥性肺炎を引き起こすこともあるので十分な医療、看護体制が必要です。

 

後編(高齢者に多い病気のこと、知っておこう!(後編) - 高齢者介護のあれこれ)に続きます。

 

グループホーム VS 老人ホーム どっちがいい?

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1.増えるグループホームと老人ホーム

 

65歳以上の高齢者が国民の半分、2045年の日本の話です。超超高齢化社会が進む中、介護保険を利用したグループホームと老人ホームの数は年々増えています。特に東京都は2025年までに現在5000床のグループホームを倍の10,000床に増やす計画とのこと。介護福祉施設が増えることは介護者と高齢者には喜ばしいことです。しかし、介護施設の種類も内容も複雑に異なるとなると、入居先を決めるときは混乱することも多いことでしょう。

 

2.グループホームと老人ホーム、どちらを選ぶべき?

 

〇 グループホームとは?

グループホームは、認知機能と身体機能が弱り介護または生活介助が必要な高齢者が、介護の専門スタッフ等の援助を受けながら集団で生活する施設を言います。グループホームの絶対的な入居要件は認知症患者であること。また、介護保険を利用した介護サービスが必要なため、要介護認定(要支援を含む)を受けている必要があります。

 

グループホームは老人ホームにくらべて入居定員が18人前後と少なく、一般の住宅で共同生活をする「社会的介護」の形をしています。グループホームは、比較的に重い身体介護を必要としない方が共同で生活を営んでいるため、入居費用が老人ホームに比べて安いといった特長があります。

 

なお、グループホームも高齢者が住む施設であるために医療と介護の体制を整えていて、契約医療機関と介護事業者との連携で、訪問診療や訪問介護などの介護サービスを日々提供しています。しかし、胃ろうやタンの吸引、中心静脈栄養(IVH)、夜間早朝のインシュリン注射、鼻腔経管栄養、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、医療依存度が高い方は入居が難しい場合が多く、このような医療対応が必要になった場合は退去せざるを得ない場合もあります。

 

〇 老人ホームとは?

老人ホームといえば多くの方が『特別養護老人ホーム』を頭に浮かばせます。しかし、老人ホームの種類は大きく『特別養護老人ホーム』、『住宅型有料老人ホーム』、『介護付き有料老人ホーム』の3つの種別があります。

 

特別養護老人ホーム(略して、特養)は、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な介護保険施設で、多床室では月に約8万円、個室では月に約13万円と一般に入居費用が安いです。また入居基準としては要介護3以上で認知症の有無は関係ありません。居室の床面積は10.65㎡(6.4畳ほど)以上、人員体制としては、入居者3人あたり有資格者1人以上です。

 

介護付き有料老人ホーム(略して、介護付き)は、国の基準を満たしていて介護付きとして特定施設として認可を受けた老人ホームを言います。人員配置基準は特養と同様、入居者3人に対して有資格者1名以上、居室の広さは13㎡(7.8畳ほど)以上です。しかし、有料老人ホームでは国が定めた基準よりも手厚い人員体制を備えているところも多く、部屋の広さも18㎡(10.9畳ほど)以上の部屋も多くあります。

 

住宅型有料老人ホームは(略して、住宅型)、名前のせいで介護サービスが受けられないかと誤解して心配になる方も大勢いますが、住宅型は国の基準に沿った特定施設の称号をもらっていないだけなので介護付き有料老人ホームを超える充実な設備と介護医療体制の老人ホームも多数あります。その分、設備と環境にはバラつきが大きい施設の種別ですね。

 

以上の3つの老人ホーム、全ての共通する特徴はグループホームより大規模(大きいところでは100人以上も)で、介護と医療体制が手厚く、入居費用が高めです。また、認知症がなくても入居が可能なこと。手厚い医療&介護体制のおかげで軽度の肺炎や体調不良などは入院せずに老人ホームで対処できたり、最期の看取りの対応も安心だったりといったメリットがあります。

 

3.介護施設を選ぶときは、安心感のあるところを選びましょう。

 

介護施設に入居を検討する方は、費用や立地、生活環境、スタッフとの相性など、様々な検討要素があることでしょう。多くの場合、予算に合っているかが第一の基準で、万が一の時や死んだ後に遺したいお金を取っておいて残りの予算に合った施設を探します。

 

しかし、死んだ後に金を遺すことの意味は、悲しいことに高齢者が家族を思うほど大きいものではないです。出せる限りの予算をもって最期まで最も安心できる居場所を見つけることが最優先されるべきです。

 

人によっては様々な意見があると思いますが、私の親が入る介護施設を選ぶのなら迷わずに老人ホームを選ぶでしょう。何があっても病院に緊急入院する直前までは対応ができるため、介護施設から退去して新たな施設を探す心配もあまりありません。

 

ただ、入居検討者の高齢者がまだ70代前半などと比較的に若く(老人ホームの入居平均年齢は約85歳です)、認知症はあるが身体介助が全く必要でなければ、後から老人ホームに住処を移すことになろうとも比較的に費用の安いグループホームもよい選択肢になりうることでしょう。いずれにせよ、高齢者の施設探しは慎重に、後悔しないように、先々まで安心できる場所を選ぶことが大事です。

(生活編)これでも老人ホームに入れるの?

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要介護者600万人の時代。国の介護保険サービスの縮小の中でも毎年老人ホーム入居者は増えていく一方です。今回は、[(医療編)これでも老人ホームに入れるの? - 高齢者介護のあれこれ]の続編として、様々な生活の要望や悩みがあっても老人ホームに入居できるかについて説明します。

 

1.介護対応のなやみ

 

・寝たきりだけど大丈夫なの?

特別な医療体制が必要な方でなければ、寝たきりであることは老人ホーム入居に全く問題になりません。高齢者の多くは最期には寝たきりに近い状態になるため、ほぼ全ての老人ホームでも寝たきり状態の介護対応は問題になりません。

 

ただ、『健康型有料老人ホーム』を謳う一部の老人ホームでは介護状態になったり、寝たきり状態になった場合は退去を迫られることもあるので、ご注意ください。

 

・食べられないものが多いけど対応してくれるの?

老人ホームでは、食品アレルギーなど高齢者の健康上の理由がある場合はほとんどの老人ホームでしっかりと対応をしています。食べられないものの代わりに食べられる料理を出したり、食べられる料理の量を増やしたりすることで対応しています。

 

今では多くの老人ホームで給食会社から毎食の料理を調達しますが、一部の老人ホームは施設内で調理を行っていて、高齢者の好みや体調を考慮した食事を用意しています。

 

・認知症が重くて会話が成り立たないけど対応してくれるの?

高齢者の多くは加齢とともにアルツハイマーやレビー小体型認知症、脳血管性認知症、などの認知疾患を発症して、普通には会話が成り立たないことも多いです。老人ホームはこのような方の入居は当然問題ありません

 

中には意思疎通が難しい認知疾患の高齢者であっても、しっかりと気持ちを理解して楽しく穏やかな生活を送って頂く為に毎日声をかけて会話をしている老人ホームも少なくありません。

 

・夜間には徘徊したり服を脱いでしまうけど問題ないの?

夜間徘徊など、いわゆる問題行動がある方でも一般的に老人ホーム入居に大きな問題にはなりません

認知疾患のある方の場合、さまざまな理由で健常者には理解しにくい行動をします。たとえば夜間の徘徊と脱衣は、実は「便秘」によるときがあります。便意があって夜間に起き、排便しようと服を脱ぐケースです。この場合、服薬や食べ物の調整で便秘症状を改善することで夜間徘徊と脱衣行動が収まったりします。老人ホームでは長年の経験と知識から認知疾患のある方の行動の理由を理解して対応をしています

 

もちろん、人員体制が手厚くないために細かな対応ができない老人ホームもありますが、基本的にこのような問題のために入居ができないことは少ないです。

 

・暴言を吐いたり、突然奇声をあげたり、自傷行為もあるけど入居できるの?

このような問題行動のときは対応できる老人ホームと対応できない老人ホームがあります。入居者の問題行動に正しく対応できる人員体制があるかないか、の判断基準で分かれます。老人ホームに入居して改善の見込みがある場合は入居できますが、他の入居者に悪い影響が及ぼされると判断されると中々入居が難しくなります。

 

しかし、このような問題行動には、うまく気持ちが伝えられない「不安と不満」が背景にあることが多く、介護スタッフのきめ細やかなで親身な対応で落ち着いていく場合が多いので、まずは老人ホームの担当者と相談してみることですね。

 

2.老人ホームに入居しても自由な生活がしたい

 

・近くの親戚のところまで頻繁に外出したい

老人ホームは意外と閉じ込められているイメージが強いようですが、入居者が一人で外出することが危ない場合を除けは自由に外出ができ。入居者同士で買い物に出かけたり、家族と旅行に行ったりと、世間のイメージよりも自由な生活環境です。

 

・ペットと同居したい

ペットと同居できる老人ホームはごくわずかですが、少しずつ増えてきています。しかし基本的にはペッドの世話と、世話にかかる費用は実費として負担しなければなりません。結果的にペッドと同居できる老人ホームは高額な入居費用のかかるところが多いですが、そうでない老人ホームもあります。

 

(ペットと同居できる老人ホームはこちらをみてくださいペットと住める有料老人ホームの特集|LIFULL介護

 

・今やっている趣味活動を今後も続けたい

老人ホーム入居前から続けていた趣味活動、基本的に他の入居者の迷惑にならなければ継続できます。最近ではカラオケや生け花、麻雀、園芸なども施設内でできる場合があるので、老人ホームに入居してから新たな趣味を始められる方もいます。

 

・入居してからも週末に自宅に帰りたい

まだまだお元気で自宅を残したまま老人ホームに入居している方は、たまには自宅に帰って生活される方がいます。自宅に帰られることは入居者本人の危険がなく、家族の特段の希望がない限り自由にできます。自宅に帰られている間の食費は事前に老人ホーム側に伝えている場合に限ってかからない場合もありますが、配食会社と月単位の契約をしていることが多いため、基本的に食費は固定費としてかかります

 

・お酒やタバコがやめられない

老人ホームに入りたくない理由として好きなお酒とタバコをあきらめないといけないから、という方がいます。しかし、お酒の場合は医師の特段の指導がない場合は老人ホームに入居しても飲むことができます。ただし、飲みすぎないようにお酒を老人ホームで管理する場合もあり、入居者のお部屋にはお酒を置かないようにすることが多いです。

 

また、タバコの場合も室内では吸えませんが、老人ホームの外では吸えるところが多いです。時にはタバコを吸う介護スタッフと老人ホームの外でタバコを吸うこともあります。

 

 

3.その他のなやみ

 

・入居に際した「身元引受人」がいない

老人ホームに入居するときは入居者の怪我や入院、ご逝去後の手続きなどがあるために身元引受人が必要です。現状として身元引受人がいないと老人ホームに入居することはできません。しかし身元引受人がいない老人ホーム入居希望者も多いため、一定の費用を払って身元引受人を代行してくれる法律事務所などもあります

 

・生活保護を受けている

生活保護受給者の場合、老人ホーム入居を断られることがあります。老人ホーム入居には毎月一定の費用が掛かり、利用する医療サービスによっては医療保険の自己負担が上乗せされます。そのために経済的に困っている生活保護受給者の場合は毎月の支払いに不安があるとのことで入居を断られることがあります。一般的に有料老人ホームは入居金のほかに毎月15~25万円程度かかります。そのため生活保護受給額の範囲だと入居できるホームは限られます。しかし最近では、生保受給者でも入居の相談ができる低額なホームも増えてきました。

 

・介護保険はあるけど、まだ50歳で高齢者ではない

若年性認知症などの難病疾患の患者さんは第二号被保険者として40歳以上は介護保険が利用できます。しかし65歳以下の方は老人ホーム入居を断られることがあります。実は老人ホームでは高齢者の余命を平均5年と考えて入居金を設定しているところが多く、5年を大きく超過して入居する場合は老人ホームの収支はかなり悪化します。そのために余命が長い方は断られることがあります。また、若年性認知症などの方の場合、体は元気な場合が多く、介護職員が対応しきれないほど力が強いこともあって、老人ホームの体制として対応できないと判断される場合もあります。まずは老人ホームの担当者と相談をしてみることです。

 

4.まとめ

 

高齢者は長年生きてこられたこともあり、お気持ちの問題や生活の習慣から様々な要望や悩みがあります。老人ホームでは、すべてではありませんが、高齢者の生活と想いを尊重して、最大限住み心地のよい空間にしようと努力しています。人員体制にゆとりがある老人ホームでは、1人の入居者を連れて入居者家族の墓参りに付き添う事もあるくらいです。なかなか難しい問題が多いですが、一人で悩まずにケアマネや老人ホームの担当者と相談してみましょう

(医療編)これでも老人ホームに入れるの?

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 1.増える要介護者と老人ホーム人気

 

要介護者600万人の時代。国の介護保険サービスの縮小の中でも毎年老人ホーム入居者は増えていく一方です。老人ホームは賃料や食費込みで13万円から20万円が一般的で、介護、医療体制はもちろん看取りまで行うところが多いので、終の棲家として人気が高まっています。それに、老人ホームは療養病院などの医療機関と違って『高齢者の生活の空間』なので外出や趣味活動が比較的に自由にでき、自分らしい生活ができることも魅力です。

 

2.老人ホームの絶対的な入居条件は『感染症の有無』

 

高齢者は様々な健康上の問題があり、ほとんどの方が病院に通っています。75歳以上の後期高齢者ともなると糖尿病によるインシュリン注射、腎臓病による人工透析、高血圧による食事制限、経口摂取ができない方の胃ろう、消化器官が弱った方の中心静脈栄養(IVH)、そして頻繁に発症する肺炎や骨折など、高齢者は日々医療に頼った生活をしています

 

老人ホームは医療体制を整えたところが多いですが、それでも病院ではないので受け入れられる方の病状には限界があります。

 

老人ホーム入居基準になる最低限の条件は感染症がないこと』

 

老人ホームは高齢者の生活の空間なので、入居者が感染症にかかったときに隔離できる部屋を用意したり来客の手洗いを徹底したりと、いつも感染症の対策に努めています。免疫の弱く、室内の生活時間が長い高齢者にとって感染症は恐ろしいもの。そのために、細菌性肺炎や、MRSA(黄色ブドウ球菌)、ノロウィルスなど感染症のある方は入居できません。感染症がある方は病院で治してからの入居検討になります。

 

 3.医療依存度の高い方の老人ホーム入居について

 

また、点滴やインシュリン注射、たんの吸引(一部、有資格者の介護士も対応できます)などの介護士ではできない医療行為は全て看護師によって行われます。そのために看護師が24時間常駐する老人ホームと、看護師が日中のみ常勤する老人ホームでは対応できる医療行為が異なります。

 

そもそも老人ホームに看護師がいることを知らない方や、老人ホームは病院のように看護師が24時間常駐すると考えている方も多いと思います。基本的に老人ホームは日中のみ看護師が駐在していて、一部の医療依存度の高い方のための老人ホームは看護師が24時間常駐しています。また、24時間看護士が常駐する老人ホームはその分、月額費用が高いことが多いです。

 

それではどのような方であれば老人ホームに入居できるか、いくつかケースを交えて説明します。

 

①インシュリン注射が必要

→インシュリンの注射は1日2回までなら日中の看護師が対応できるため、一般的な老人ホームでも入居できます。1日3回のインシュリン注射が必要な方も、看護師の出退勤の時間が少し調整できる老人ホームであれば一般的な老人ホームに入居できます。

 

しかし1日4回以上のインシュリン注射が必要な場合は24時間看護師が常駐する老人ホームに入居する必要があります。24時間看護師が常駐する老人ホームは数も少なく、入居費用も高く、医療依存度が高い方の入居率が高いために雰囲気が暗いことも多いです。そのために、インスリン注射の回数が多い場合は主治医の先生の相談して1-2回のインシュリン注射は飲み薬に変えてもらうことで一般的な老人ホームに入居できることもあります。

 

②中心静脈栄養(IVH)を利用している

IVHの方は常に静脈に栄養剤注入のための針が刺さっていて、日常生活で針が抜けることや、認知症によって自分で針を抜いてしまう場合があります。この時に針を刺し直す行為は全て医療行為であって、医療従事者である医師や看護師でなければできません。針が抜けられてしまうことは時間を問わず起こるのでIVHを利用している患者は基本的に24時間看護師が常駐する老人ホームでなければ入居できません

 

③胃ろうを造設している

胃ろうの患者さんは普段からチューブ周りを清潔に保つために看護師がケアをしています。これは医療行為にあたるので一般の介護士はやってはいけません。しかし、このチューブの管理は頻繁に行われるものではないので24時間看護師が常駐する老人ホームでなくても入居できます

 

④尿道カテーテルを設置している

健康上の問題で尿道カテーテルや膀胱留置カテーテル、腸ろう、腎ろうなど、身体内部から外に繋がる管を設置する患者さんがいます。この場合でも多くの場合は管が抜けた時の医療行為のために24時間看護師が常駐する老人ホームでなければ入居ができません。一時的な尿道カテーテルの場合は入居が可能な場合もありますが、各老人ホームの人員体制を考慮した面談で入居可否が決まります。ただし、動脈硬化などの薬を飲んでいる方は、管が抜けるときの少しの怪我でも出血が止まらない場合があるために、体内に管を繋げている方はの入居は断る場合が多いです。

 

⑤点滴を打っている

一時的な点滴であれば日中の看護師が対応しますが、夜間の点滴が必要な方は24時間看護師が常駐する老人ホームでなければ入居ができません。そのため、点滴を飲み薬などに変えることができる場合は主治医と相談の上で調整して一般の老人ホームに入居することもあります。

 

⑥在宅酸素(HOT)を利用している

基本的に在宅酸素は老人ホーム入居に問題になりません。ただし、日中使用する酸素量が非常に多い場合や夜間の呼吸障害がある場合は対応できないこともありますので老人ホームの担当者と相談をする必要があります。CPAPやBiPAPなどの睡眠中の呼吸を補助する在宅用酸素呼吸器の場合でも同様、各老人ホームの担当者と対応について相談する必要があります。

 

⑦人工透析が必要

人工透析の患者の場合も老人ホーム入居には基本的に問題になりません。しかし人工透析センターとの契約と送迎まで老人ホームが対応するところは少ないです。もちろん、既に入居している人工透析患者の通う医療機関情報はお伝えしてくれると思いますが、あくまでも人工透析は入居者本人と家族が調べて対応する必要があります。入居を希望する老人ホーム周辺まで送迎の車が通う人工透析センターを自力で見つけ出す必要があります

 

⑧輸血が必要

腎機能が極めて弱い方は週1回の輸血など、輸血が必要な場合があります。ごくまれに医療機関併設の老人ホームには入居できることもありますが、基本的に輸血が必要な患者は24時間看護師が常駐する老人ホームでも入居ができません。療養病院への入院が現実的な結論になります。

 

⑨気管切開中の患者である

気道の確保など、様々な理由により喉の期間を切開している患者さんがいます。人間は通常、息を吸うときに吸い込む息に自然と湿度が加わります。しかし気管切開の患者はそのような機能が働かないので常に濡れたガーゼを利用する必要があり、気管に挿入しているノズル(気管カニューレと言います)の衛生管理と、喉に絡むタンの吸引が必要です。

 

これらのほとんどが介護職員では行えない医療行為に当たるために、気管切開の場合も大概は24時間看護師が常駐する老人ホームに入居する必要があります。

 

⑩月に1回、ずっとかかっている病院に通う必要がある

心臓疾患など、長年通っていた大学病院の先生に定期健診をお願いしたい患者さんも多くいます。この場合でも老人ホーム入居には問題になりません。月に1回など、回数が少ない場合は老人ホームのスタッフが病院まで付き添う(基本的に別途料金&保険外です)こともありますが、頻度が高い場合は家族が病院までの付き添いを行う必要があります。

 

4.まずは老人ホームの担当者と相談を行う事をオススメ

老人ホームによっても対応できる医療体制は異なりますが、老人ホームでは最大限入居希望者の状況に合わせて入居できる方法を模索してくれます。上で書いたような基準が一般に多い入居基準ですが、特殊な病状であったり、たまたま老人ホームのスタッフに欠員が出て対応できないこともあります。また、普段は対応できない病状の方でも家族と協力体制が築ける場合は入居が可能になることもあります。

 

老人ホームは病院のようにはいきませんが、思うよりも充実な医療体制を確保しているところが多いので、入居を検討しているのなら早めに見学にいって相談することをお勧めします

要介護認定のために地元に戻らなければいけないの?

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1.介護が必要な高齢者に『介護保険』は、まさに生命線。

 

超高齢化社会の日本、毎日の生活に人の手を借りなければならない高齢者が急速に増え、要介護認定を受けた方は2016年に基準で600 万人を超えました。介護保険は要介護の認定調査で決まった介護度によって、介護サービスが利用できる上限額が設定され、上限額内で介護サービスが受けられます現金の給付ではありません

 

この介護保険は要介護1の場合であれば月に約16万円要介護5であれば月に約36万円ものの介護サービスが一部の自己負担だけで受けられるため、経済的に裕福でない方でもかなり充実した介護サービスが受けられます。介護が必要な高齢者の方には、まさに生命線のような公的保険なのです。

 

2.要介護認定の流れは「書類→対面調査」

 

介護保険を利用するには要介護認定を受ける必要があります。まずは住民票の登録のある、お住いの市区町村へ申請を行います。

 

要介護認定の申請窓口は各役所(介護保険課など)に設置されています。区役所ごとに担当窓口の名前が異なる場合がありますので、窓口が分からない場合は総合案内などで確認しましょう。

 

要介護認定の申請に必要な書類はこちらの3つ。

 

「申請書」「被保険者証」「主治医意見書」

 

申込書の用紙は市区町村の窓口でもらうか、市区町村のホームページでダウンロードすることもできます。申請書と、被保険者証、主治医意見書が準備できましたら、お住まいの市区町村の介護保険課窓口か地域包括支援センターに提出しましょう。

 

書類の提出が完了したら、今度は介護認定調査員による訪問調査が行われます。本人や家族に対して普段の生活ぶりをうかがって確認を行います。どの程度の介護が必要かを判断し、のちに行われる介護認定調査会で適正な介護度を判断するための材料として利用します。この訪問調査の時にたまたま体調を崩してしまうと介護度が高く設定されたり、一人ではできないことを「できる!」とウソをついてしまうと介護度が低く設定される場合もありますので、望まぬ認定結果がでないように気を付ける必要があります。

 

また、訪問による介護認定調査に加えて、主治医への意見書作成が依頼されます。主治医の意見書では、対象者の身体の状態や精神状態を医師として判断し、こちらも介護認定調査員の訪問調査資料とともに適正介護度の判断材料として利用します。

 

3.住民票がある地元に帰って要介護認定調査を受けなければならないの

 

介護保険の財源を担っているのは基本的に地方自治体、つまり高齢者本人が住民登録をした地域の自治体です。そのために金を払う自治体は介護保険が適正に使われるか管理監督するためにも、原則として住民登録された地域で介護認定審査を受けることになっています。

 

しかし、地方に住民票を残したまま急に家族の住む遠方に行ってしまった場合はどうすればいいでしょう。『田舎で一人暮らしをしていた親が急に体調を崩して家族の住む東京に来てもらった』なんてよくあること話です。そこから老人ホームへの入居や介護サービスの申請など、急いで介護保険を利用したい場合、本来は住民票のある地元に帰って介護保険の認定調査を受ける必要があります。

 

ただ、体調を崩して遠方に住む家族の元まで来てもらっているのに、遠い田舎までお連れするのは現実的でないことも多いことでしょう。ここで利用できる行政サービスが『認定調査属宅制度(正式名称ではありません)』です。この制度は住民票の登録がある自治体(地元)が今滞在している自治体に要介護保険認定調査を依頼(属宅)することで、遠い地元に帰ることなく今滞在しているところで要介護認定の手続きができる制度です。属宅費用は無料です。

 

4.まぼろしの『認定調査属宅制度』、ぜひ利用しましょう。

 

実はこの制度、ほとんど知られていません。一般の方はもちろん、ケアマネージャーや役所の担当職員でさえ知らない場合が多いです。全国的に行われている制度ではあるようですが、厚生労働省などの省庁が決めた制度ではなく各自治体が運用している制度であるために、あまり知られていないようです。

 

実際に、私が担当していた老人ホームの入居希望者の話ですが、一人暮らしのお母様が急に体調を崩して地元の鹿児島から息子の住む東京に移られていました。それまでは一人で生活できていたので介護保険の申請をしていなかったために急いで介護保険の申請をする必要がありました。お母様は体調が悪く、鹿児島まで行ってこられる状態ではありませんでした。そのためにご家族の方々も地元での介護保険認定調査のために悩まれていました。そこで『認定調査属宅制度』を案内させて頂きました。

 

しかし『認定調査属宅』のお願いをしに鹿児島の役所で相談をしましたところ、役所の担当者いわく「そのような制度はありません」と断言。家族の方はひどく混乱して私に電話をかけてきていました。でも、おそらく役所の担当者が知らないだけであると伝え、私が鹿児島の役所に電話をかけて制度の説明と再確認をお願いしました。役所の担当の方も慌てて色々と調べたようですが結果的には制度の存在が確認でき、東京で介護保険の認定調査が受けられ、無事に要介護認定が確定しました。

 

5.「一人暮らしが大変」と思ったら早めの要介護認定を取得しましょう。

 

高齢者になると元気に暮らしていても風や転倒などで突然介護の必要な状態になります。まだまだ元気なときはよいのですが、「一人ぐらいが大変」と思ったら役所や地域包括支援センター(あんしんすこやかセンターなど)に相談し、突然訪れる介護に備えましょう。身体の介助以外でも炊事などの家事全般のサポートも介護保険の給付対象なので、日常的な家事の負担も軽減できます。

有料老人ホーム、結局1か月にいくらかかるの?

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1.老人ホーム入居の費用は千差万別

 

入居金0円、月額13万円の老人ホームもあれば、入居金3億越え、月額40万円の施設まで、老人ホームといえども千差万別です。設備とサービスで快適な環境を提供する老人ホームは、入居金が700~1000万円程度、月額20~25万円程度のところが多いです。

 

しかし、高い老人ホームが素敵なのは当然のこと。同時に安くていい老人ホームは望めないものです。老人ホームの費用が安いところだと、当然人員体制が手薄になったり、食材費が削られてしまったりします。入居者一人ひとりに合わせたきめ細かな対応も難しくなります。

 

そんな中でもコストパフォーマンスの高い老人ホームを探すとなると「介護付き有料老人ホーム」がよい選択肢になることでしょう。介護付き有料老人ホームは、国が定めた人員基準(入居者3名に対して有資格者のスタッフ1名以上)や部屋の広さ(居室の広さ18平米以上)を満たしているため、ある程度安心できる基準になります。

 

だ、「介護付き」という言葉にとらわれるのも禁物。施設名に「介護付き」とついているのは単なる行政上の区分であって、「住宅型有料老人ホーム」でも介護付き有料老人ホームと全く変わりのない介護、医療体制の老人ホームも多いです。場合によっては介護付き有料老人ホームよりも住宅型有料老人ホームのほうが介護保険を柔軟に利用できる場合もあって、同じ費用でも住宅型有料老人ホームのほうがより快適な介護サービスが受けられる場合もあるので一概に言えないことがあります。そのため、この部分に関しては老人ホームの見学時に詳しく聞いてみることをお勧めします。

 

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2.‘コスパのよい有料老人ホーム’ の入居費用は?

 

老人ホームの入居費用は、入居金と月額費用に分けられます。

高級な老人ホームに入れば全ての設備とサービスが優れていることでしょう。しかし誰しもが高級老人ホームに入れないもの。幸せな老後を過ごすための基本的な設備とサービスを全て備えた、コスパのよい老人ホームの入居金は200万円から500万円の間が多く、月額費用は13万円から18万円の間が多いです。そして、都市部は入居金と月額が地方よりも30%くらい高いことが多いです。

 

(入居金は大体5年で均等に償却されていき、5年ですべてなくなります。5年後に継続して入居しても再度入居金を納めることはありません。これは老人ホームの平均入居年齢が86歳で、大体5年以内にご逝去または入院で退去される想定で料金プランが作られているからです。ご入居後に5年を超過して老人ホームに入居できそうな方はまとまった入居金を払った方が断然お得です。)

 

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3.それで結局、月々の費用はどれくらい?

 

それでは、結局老人ホームに入居するにはいくらかかるの? といった疑問について考えてみましょう。入居金150万円、月額15万4000円のベストライフ川口東のケースです。

 

入居金は入居時に1回で払い、月額15万4000円を毎月払います。月額の15万4000円には個室の賃料、共有施設の利用料、食費などが含まれています。しかし、介護費と医療費が含まれていないです!

 

介護と医療はそれぞれ介護保険と医療保険の対象になりますが、その1割は自己負担として払わなければいけません。基本的に年間160万円以上の収入がある場合は介護保険の自己負担率が最大2割に(2018年度の改正で3割に)なります。

老人ホームでは基本的に介護保険の上限満額まで介護サービスを提供するため、以下のような自己負担になります。

 

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この表をみると自己負担率が1割負担の方でも要介護1で1万6692円がかかることは分かります。毎月の月額15万4000円に、この1万6692円が上乗せされるのです。そのうえで、毎月の医療費の1割負担、外出時の小遣い、場合によってオムツなどの費用も考慮しなければなりません。

そうなると合計金額は月額約19万円になります。この19万円が老人ホームに入居したときにかかる実費なのです。

 

もし入居予定者の介護度が要介護3なら月額約20万円要介護5なら21~22万円が目安になります。しかも年間160万円以上の収入があって自己負担額が2割の場合は、要介護1でも月額費用が約20~21万円が毎月かかります。

 

また、介護保険の自己負担額は対象者の経済状況によって後から払い戻されることがあり、基本的に3万7200円を超す月々の介護保険自己負担額は後から払い戻されます

 

【自己負担額の上限額が1万5000円の方】

・生活保護受給者の方

・老齢福祉年金受給者で、世帯全員が非課税の方

・世帯全員が住民税非課税で、年金収入が80万円以下の方

 

【自己負担額の上限額が2万4600円の方】

・世帯全員が住民税非課税で、生活保護などに該当しない方

 

【自己負担額の上限額が3万7200円の方】

・住民税世帯課税の方     37,200円

 

4.老人ホーム入居は、今の状況をしっかりと考慮して後悔のない選択にしましょう。

 

老人ホームへの入居は、人生最後のいちばん高い買い物です。入居後の生活を考え、入居金型契約を結ぶか、月額のみの契約を結ぶか慎重に決める必要があります。また、老人ホームに入居して実際にかかる毎月の費用を確かめて無理のない計画を立てることが大事です。人気の老人ホームは急に入ろうとしても空きがないことが多いので、元気なうちから老人ホーム入居を検討し、見学をしておくことを強くお勧めします。