高齢者介護のあれこれ

介護相談員の在宅介護ガイド

グループホーム VS 老人ホーム どっちがいい?

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1.増えるグループホームと老人ホーム

 

65歳以上の高齢者が国民の半分、2045年の日本の話です。超超高齢化社会が進む中、介護保険を利用したグループホームと老人ホームの数は年々増えています。特に東京都は2025年までに現在5000床のグループホームを倍の10,000床に増やす計画とのこと。介護福祉施設が増えることは介護者と高齢者には喜ばしいことです。しかし、介護施設の種類も内容も複雑に異なるとなると、入居先を決めるときは混乱することも多いことでしょう。

 

2.グループホームと老人ホーム、どちらを選ぶべき?

 

〇 グループホームとは?

グループホームは、認知機能と身体機能が弱り介護または生活介助が必要な高齢者が、介護の専門スタッフ等の援助を受けながら集団で生活する施設を言います。グループホームの絶対的な入居要件は認知症患者であること。また、介護保険を利用した介護サービスが必要なため、要介護認定(要支援を含む)を受けている必要があります。

 

グループホームは老人ホームにくらべて入居定員が18人前後と少なく、一般の住宅で共同生活をする「社会的介護」の形をしています。グループホームは、比較的に重い身体介護を必要としない方が共同で生活を営んでいるため、入居費用が老人ホームに比べて安いといった特長があります。

 

なお、グループホームも高齢者が住む施設であるために医療と介護の体制を整えていて、契約医療機関と介護事業者との連携で、訪問診療や訪問介護などの介護サービスを日々提供しています。しかし、胃ろうやタンの吸引、中心静脈栄養(IVH)、夜間早朝のインシュリン注射、鼻腔経管栄養、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、医療依存度が高い方は入居が難しい場合が多く、このような医療対応が必要になった場合は退去せざるを得ない場合もあります。

 

〇 老人ホームとは?

老人ホームといえば多くの方が『特別養護老人ホーム』を頭に浮かばせます。しかし、老人ホームの種類は大きく『特別養護老人ホーム』、『住宅型有料老人ホーム』、『介護付き有料老人ホーム』の3つの種別があります。

 

特別養護老人ホーム(略して、特養)は、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な介護保険施設で、多床室では月に約8万円、個室では月に約13万円と一般に入居費用が安いです。また入居基準としては要介護3以上で認知症の有無は関係ありません。居室の床面積は10.65㎡(6.4畳ほど)以上、人員体制としては、入居者3人あたり有資格者1人以上です。

 

介護付き有料老人ホーム(略して、介護付き)は、国の基準を満たしていて介護付きとして特定施設として認可を受けた老人ホームを言います。人員配置基準は特養と同様、入居者3人に対して有資格者1名以上、居室の広さは13㎡(7.8畳ほど)以上です。しかし、有料老人ホームでは国が定めた基準よりも手厚い人員体制を備えているところも多く、部屋の広さも18㎡(10.9畳ほど)以上の部屋も多くあります。

 

住宅型有料老人ホームは(略して、住宅型)、名前のせいで介護サービスが受けられないかと誤解して心配になる方も大勢いますが、住宅型は国の基準に沿った特定施設の称号をもらっていないだけなので介護付き有料老人ホームを超える充実な設備と介護医療体制の老人ホームも多数あります。その分、設備と環境にはバラつきが大きい施設の種別ですね。

 

以上の3つの老人ホーム、全ての共通する特徴はグループホームより大規模(大きいところでは100人以上も)で、介護と医療体制が手厚く、入居費用が高めです。また、認知症がなくても入居が可能なこと。手厚い医療&介護体制のおかげで軽度の肺炎や体調不良などは入院せずに老人ホームで対処できたり、最期の看取りの対応も安心だったりといったメリットがあります。

 

3.介護施設を選ぶときは、安心感のあるところを選びましょう。

 

介護施設に入居を検討する方は、費用や立地、生活環境、スタッフとの相性など、様々な検討要素があることでしょう。多くの場合、予算に合っているかが第一の基準で、万が一の時や死んだ後に遺したいお金を取っておいて残りの予算に合った施設を探します。

 

しかし、死んだ後に金を遺すことの意味は、悲しいことに高齢者が家族を思うほど大きいものではないです。出せる限りの予算をもって最期まで最も安心できる居場所を見つけることが最優先されるべきです。

 

人によっては様々な意見があると思いますが、私の親が入る介護施設を選ぶのなら迷わずに老人ホームを選ぶでしょう。何があっても病院に緊急入院する直前までは対応ができるため、介護施設から退去して新たな施設を探す心配もあまりありません。

 

ただ、入居検討者の高齢者がまだ70代前半などと比較的に若く(老人ホームの入居平均年齢は約85歳です)、認知症はあるが身体介助が全く必要でなければ、後から老人ホームに住処を移すことになろうとも比較的に費用の安いグループホームもよい選択肢になりうることでしょう。いずれにせよ、高齢者の施設探しは慎重に、後悔しないように、先々まで安心できる場所を選ぶことが大事です。