高齢者介護のあれこれ

介護相談員の在宅介護ガイド

身寄りがないと介護施設には入居できない?!

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1.老人ホーム入居には『身元引受人』が必要

 

高齢者の一人暮らし、老老介護の夫婦の二人暮らしが急速に増加しています。高齢者独居世帯には結婚をしていない方も多く、頼れる家族もいないために介護保険の利用や生活保護の申請などもできずに極貧生活を送っている方もいます。また、そもそも本人が介護の必要な状態でありながら配偶者の介護をしている、いわゆる「老老介護」も増えています。老老介護はほとんど長続きせず、介護をしていた高齢者が健康を大きく崩して配偶者よりも先にご逝去されるケースも後を絶ちません。

 

さらに、「老老介護」には身体的な負担以外にも認知症患者の高齢者が認知症患者を介護している「認認介護」も含まれていて、服薬管理はもちろん、介護サービスや医療機関の適切な利用も難しいことが多くあります。「認認介護」の場合は火事などの事故やケガ、薬の誤飲などによるリスクも高まるので、本来であれば「老老介護」よりも「認認介護」のほうが生活のサポートが必要なことも多いです。

 

このように人の手が必要な高齢者の介護を、家族が行えない場合は老人ホームの入居を検討することも多いですが、ほとんどの老人ホームは入居時に「身元保証人」が必要です。しかし高齢者の場合は「結婚をしてないので家族がいない」、「子供がいない」、「家族と疎遠」、「家族も高齢」、「家族も認知症」など、「身元引受人」をお願いできないことも非常によくあります。そもそも頼れる人がないために施設入居を検討するのに、また頼れる人がいなくて施設入居ができないといった悲しいことも多いのです。

 

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2.『身元引受人』が必要な理由

 

一般に老人ホームに入居するときは「身元引受人」と「保証人」が必要です。「身元引受人」は、入居者が病気やケガ、自己、死亡、支払いが滞ったときの連絡や協議を行う相談相手で、「保証人」は、入居者が月額料金の支払いができなくなったときに入居者に代わって月額料金を払う連帯保証人です。普通は、同じ人が「身元引受人」と「保証人」を兼務することが多いですので、実質は「身元引受人」=「(身元)保証人」なのです。

 

高齢者は、様々な病気を患って身体機能も弱っているために、肺炎や転倒による骨折などで緊急入院をすることもあれば、施設内でご逝去されることも非常に多くあります。高齢者の身に何かが起こると施設側は「身元引受人」に連絡をとって来てもらったり確認と許可をとったりします。時には認知症の高齢者が暴力的行動で周りの人に迷惑をかける場合もあり、このような場合でも施設は「身元引受人」に相談し、協力をお願いすることもあります。まるで24時間保育員に子供を預けた保護者のように、「身元引受人」は何かがあればすぐに駆け付ける「保護者」の役割を果たします。

 

さらに「身元引受人」は、入居者がご逝去した後のご遺体の引き受け、死亡届の提出や遺品の整理、返金予定の入居金がある場合は入居金の受け取りなどの諸般の事務手続きも行う事になります。このように介護施設入居者の「身元引受人」は、かなりの義務と責任を負うので軽い気持ちではお願いできません

 

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3.『身元引受人』を頼める人がいないときは?

 

介護施設への入居相談の時に「身元引受人がいないけど大丈夫?」といった相談は度々あります。まだまだ家族がいなくて「身元引受人」がお願いできない方よりも、家族との関係性のために「身元引受人」のお願いができない場合が非常に多くあります。家族の事情というのは複雑なもので簡単に解消するものではないので、家族関係が改善して「身元引受人」問題が解決される割合はゼロに近いです。

 

このようなときに、月額料金に対して連帯責任を負う「身元保証人」を代行してくれるNPO団体や法律事務所、公益社団法人、民間企業があって、そのようなサービスを利用する方も徐々に増えています。老人ホームの入居条件に「身元保証人相談可」となっていても「身元保証人」が不必要なわけではなく、有料で「身元保証人」の代行支援を行っている企業や団体などを紹介してくれるといった意味なのです。

 

 

【身元保証人を代行する団体例】

 

〇四つ葉のクローバー協会

http://www.4clover.org/

 

〇全国シルバーライフ保証協会

http://sl-g.jp/

 

身元保証人を依頼するには、一定の費用がかかります。

 

【終身連帯保証契約の例】

116万5000円(終身)

(入会費55万円+連帯保証費60万円+事務手数料1万5000円)

 

【3年更新の月払い契約の例】

初期費用26万5000円+月額1万5000円

(入会費25万円+月額連帯保証費1万5000円+事務手数料1万5000円)= 3年で約80万円、4年で118万5000円かかる。

 

上記の費用は一例で、保証人の代行を行う団体、企業によっては費用が大きく変わったり保証内容が異なる場合も多いので、契約内容を詳しく確認したうえで契約を締結する必要があります。また、このような団体、企業は身元保証以外にも葬儀支援(約35万円)、納骨支援(20万円)、遺品整理(15万円~)も引き受けることがあります。

 

制度やサービスを賢く利用して安心の老後を送りましょう。