高齢者介護のあれこれ

介護相談員の在宅介護ガイド

『特養』と『介護付き』、『住宅型』どうちがう?

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1.3つの老人ホーム、特養、介護付き、住宅型

 

要介護者600万人の時代。国の介護保険サービスが縮小する中でも終の棲家としての老人ホームの人気は年々増していく一方です。老人ホームといえば多くの人は『特別養護老人ホーム』を頭に浮かばせますが、老人ホームの種類は大きく『特別養護老人ホーム』、『住宅型有料老人ホーム』、『介護付き有料老人ホーム』の3つがあります。

 

・特別養護老人ホームとは

特別養護老人ホーム(略して、特養)は、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な介護保険施設です。そのために一般に入居費用が安く、多床室(今ではプライバシーの保護の為に新規開設は凍結状態)では月に8万円ほど、個室(ユニット型とも呼ばれます)は月に13万円ほどがかかります。要介護3以上でなければ入居申し込みができないうえで、都心部では特に満床施設が多く、すぐには入居ができない場合が多いです。居室の床面積は10.65㎡(6.4畳ほど)以上、人員体制としては、入居者3人あたり介護福祉士や看護師、医師などの有資格者1人が最低基準です。国の基準を超えた手厚い人員体制を確保している特養はまれです。

 

・介護付き有料老人ホームとは

介護付き有料老人ホームは(略して、介護付き)国の基準を満たしていて介護付きとして特定施設として認可を受けた老人ホームを言います。その国の基準とは、入居者3人に対して有資格者のスタッフが1名以上、居室の広さは13㎡(7.8畳ほど)以上です。しかし、有料老人ホームでは国が定めた基準よりも手厚い人員体制を備えているところも多く、部屋の広さも18㎡(10.9畳ほど)以上の部屋も多くあります。中には入居費用は高額ですが、2LDKの広々とした高級老人ホームもあります。

 

・住宅型有料老人ホームとは

住宅型有料老人ホームは(略して、住宅型)、施設内に介護スタッフが常駐していないが併設した介護サービス事業者から介護職員が出入りしています。入居者は併設した介護事業者との契約で介護サービスを受けることになります。施設内では、いつもの介護スタッフが介護をしているので施設見学に行っても住宅型と介護付きを見分けることは難しいくらい変わりがありません。『住宅型』は、名前のせいで介護サービスが受けられないかと誤解して心配になる方も大勢いますが、住宅型も介護付きと区別がつかないほど手厚い介護サービスを提供しているところが多いです。逆に、住宅型の場合は個人的に選んだ外部の介護サービスが介護保険を利用して使えることが多いので、より自分にあった介護サービスを受けられる場合もあります。

 

2.結局、『介護付き』と『住宅型』は、何がちがうの?

 

・生活環境と介護サービスはほぼ同じ

上で書いたように『介護付き』と『住宅型』といった種別により、老人ホームの生活環境や介護サービスの質が変わることは基本的にありません。大きな違いがあるとすると、それは介護施設の種別のよるものではなく、各々の老人ホームの違いです。

 

・なぜ、『介護付き』と『住宅型』で分かれているの?

一般に『介護付き』の場合は、毎月の介護保険利用額を満額まで使います。そのために政府が介護付き有料老人ホームの総量(数)をあまり増やしたくないために規制をしています。老人ホーム運営事業者側からすると、介護付きのほうが自由に介護保険を利用した介護サービスが提供できるので事務コストが削減され、最終的には利益率が上がります。そのために多くの住宅型も介護付き以上の手厚い体制と設備を整えて介護付き認可の順番待ちをしていることが多いです。

 

しかし、介護付きの厳しい基準をクリアすることが困難だと判断して、そもそも介護付きよりも人員体制と設備を縮小している住宅型もあるので、気になる住宅型があるのなら人員体制と設備の広さなどは細かく確認する必要があります。

 

・介護サービスの使い方に少しの違いがある

上でも少し触れましたが、介護付きは介護度によって決まった介護保険給付額を満額まで利用して最大限の介護サービスを行います。一方で、住宅型は各個人の介護保険給付限度の中で併設した介護サービス事業者の介護サービスを申し込むので、マッサージやリハビリなど、個人の希望に合わせて複数の事業者から介護サービスを受けることも可能です。そのために住宅型のほうが、より細かな介護サービス計画を立てられることがあります

 

3.介護施設の種別よりも、他の条件が大事

 

結局は、有料老人ホームに入居を検討する際は、介護付きや住宅型などの施設種別を気にすることに大きなメリットがありません。住宅型であっても安心できる人員体制と医療体制があるか確認をすれば良いです。大事なのは、老人ホームの立地や費用、生活環境が自分に合っているか、ちゃんと見て聞いて考えることです。まずは施設の種別は気にせず、気になる老人ホームに見学にいくことですね。